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2007.2.15(木)更新  美・博ピックアップ
美・博ピックアップ
時代の表情描き、伝える

東京都現代美術館
「中村宏・図画事件 1953―2007」
 50年代、社会や政治にかかわる事件を題材にした絵で注目を浴びた画家、中村宏さん(74)。その後も、セーラー服姿の少女や機関車をモチーフにしたシュールレアリスム的な作品などを手がけ、常に新しいテーマに取り組んできた。一貫して「観賞者の存在」を意識し、具象性にこだわり続ける。初期から最新作の油彩約100点を含め、本の装丁や挿絵、イラストなど約300点を紹介する。(4月1日まで)

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円環列車・B―飛行する蒸気機関車(69年、東京国立近代美術館蔵)。
独自の遠近法を使った実験的シリーズ。

絵図連鎖・3(2002〜06年、作家蔵)。
新旧作をコラージュしたシリーズ。01年の米同時多発テロなど、様々なイメージの連鎖が読み取れる。

 ■砂川五番(55年、東京都現代美術館蔵)

 暗い空の下、激しく何かを訴える農民とそれを押さえる警官がもみあう――。米軍基地拡張に地元民が反対した、55年の「砂川闘争」の現場を取材した初期の代表作だ。中村さんが絵画制作をはじめた当時の日本は、敗戦による占領が終わったものの、全国各地に米軍基地が残り、緊迫した社会状況が続いていた。そんな中、社会の暗部に目を向け、政治事件を伝える「ルポルタージュ絵画」運動に参加した。極端な遠近法を使って、現場で目にした様々な場面をつなぎ合わせ、写真や映像にはない、劇的な表現を求めた。「記録し、伝え、何かを訴える」が創作の原点だ。

 60年代に入り、欧米から現代美術の波が押し寄せ、多くの芸術家が抽象やパフォーマンスなどの表現に傾倒したが、あえて具象的なモチーフを描き続けた。現在も「見るものとしての絵画」で、作品から何かを読み取ろうとする観賞者とのつながりを試みている。

(2007年2月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

 

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