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2007.3.1(木)更新  美・博ピックアップ
美・博ピックアップ
「表現」に挑んだ家具作家

佐倉市立美術館
「没後80年 森谷延雄展」
 大正時代に活躍した家具・室内装飾デザイナー、森谷延雄(1893〜1927年)。常に新たな表現を求めて学生時代から頭角を現し、建設会社の勤務を経て、文部省在外研究員としてヨーロッパで室内装飾を学んだ。帰国後は後進の指導にあたる傍ら、内面の主観的表現に重きを置くドイツ表現主義の影響を受けた家具や、博覧会用の建物装飾などを発表。繊細で甘美なデザインで注目を集める一方、一般家庭向けの美しく実用的な家具も制作した。今展は、家具や複製品、スケッチなどから、多面的にデザインに挑み、33歳の若さで亡くなった森谷の創造世界に迫る。(3月25日まで)

画像
「ねむり姫の寝室」の腰かけ(複製品)。
今展のために、資料をもとに制作された。

 関東大震災(1923年)による街の崩壊は、芸術家にとって新たな創作活動への転機にもなり、森谷も家具を表現手段ととらえて積極的に活動した。ドイツ表現主義に影響を受けていた森谷は、美的理想を追求した家具の構図案を発表したが(写真中央、「卓子の着想」、24年)、現実感がないと批判された。それでも信念を貫き、理想を実物の家具にしたシリーズの一つが、グリム童話に着想を得た「ねむり姫の寝室」(同左、25年)。撮影した色付きの写真は、女性誌「婦人グラフ」で取り上げられて話題を呼んだ。おとぎ話のお姫様が眠る小さい部屋なので、少女のような美しさと若さを表そうとしたといい、象牙色の家具や細部に施された模様などで詩的な世界を作り出している。これらは表現主義を巧みに取り入れた作品として高い評価を受け、家具作家としての森谷の地位を決定づけた。

(2007年3月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

 

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