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2007.3.8(木)更新  美・博ピックアップ
美・博ピックアップ
物語世界に花開く個性

目黒区美術館
「チェコ絵本とアニメーションの世界」
 世界的に評価が高く、日本の現代作家にも影響を与えているチェコのアニメーション。そのルーツには、個性豊かで完成度の高い作品を輩出してきた絵本の世界との交流がある。アニメーション作家は絵本も手がけることが多く、アニメと絵本は互いに影響を与えながら発展してきた。会場では、20世紀前半から今日に至るチェコの代表的な絵本作家28人の原画など約200点の資料を展示。絵本の閲覧コーナーやアニメ映像の上映も交え、多彩な創作世界を紹介する。(4月8日まで)

画像 右画像
ズデニェク・ミレル「もぐらのクルテク」セル画(部分)=制作年不明。
チェコの国民的キャラクター。日本でも翻訳絵本などで知られる。
©KRÁTKÝ FILM,PRAHA,a.s.

ヨゼフ・チャペック『長い長いお医者さんの話』より「郵便屋さんの話」挿絵原画
(1932年ごろ、個人蔵、プラハ。展示は3月18日まで)。

 ■アドルフ・ホフマイステル「80日間世界一周」挿絵原画(1959年、個人蔵、プラハ)

 グラフィックデザイナーでもあったホフマイステル(1902〜73年)は、20世紀前半のチェコの前衛芸術の潮流、「チェコ・アバンギャルド」の主要な作家の一人。コラージュの手法を用いた彼の絵本作品は、巧みなバランスで配したモチーフ、ページをめくった時にはっとするような印象的な色使いなど、「挿絵」としての視覚的効果が十分に意識されている。

 第2次大戦後、チェコの芸術家たちを待ち受けていたのは、共産主義体制の厳しい検閲や干渉だった。そうした中、比較的弾圧の緩かった児童文学の分野に、多くの作家が表現の可能性を求めるようになった。洗練されたデザインや深みのある詩的な表現など、大人の鑑賞にも堪えうる絵本やアニメが数多く生まれた背景には、表現者にとっての苦難の歴史が大きな役割を果たしていた。

(2007年3月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

 

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