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2007.3.15(木)更新  美・博ピックアップ
美・博ピックアップ
「伝統」と「革新」の模索

松岡美術館
「日本美術院の画家たち」
 東京美術学校を退いた岡倉天心を中心に、1898(明治31)年に結成された「日本美術院」。伝統的な日本美術を基盤に、西洋美術の優れた点にも目を向けるなどして新しい日本美術の創造を目指した創立初期から、様々な歴史を経て現在も活動は続いている。今展は、中心的役割を果たした横山大観、下村観山の作品を軸に、明治から昭和にかけて活躍した同院所属の画家の作品23点を紹介する。(4月22日まで)

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下村観山「武人愛梅」(1902年ごろ)。
得意とする線画の作品。様々な技法を試みた。

菱田春草「瀑布(ばくふ)」(1907年ごろ)。
墨のぼかしのみで、滝の流れ落ちる情景を描いた。

 ■下村観山「長安一片月」(1900年)

 平面的な表現が多い日本画に、奥行きを与えることで「新しい日本画」を求めた岡倉天心は、その思いを「空気を描く工夫はないか」という言葉で指導にあたった。

 天心のもとで制作に取り組んだ観山は、伝統的な日本画の技法を徹底的に習得した上で、西洋画に見られる遠近感を日本画に加えようと表現法の模索を続けた。古典的な題材を好んで描いた観山であったが、線描に頼らず、色の濃淡やぼかしなどで遠近感を表現する新しい手法「朦朧体(もうろうたい)」を実験的に使ったこの作品では、李白が詠んだ詩を題材に、新しい描写に挑んだ。遠くどこまでも続きそうな長安の家並み、そして、雲の合間から差し込む月光までも、墨の色具合のみで表現し、独特の奥行きを持った作品に仕上げている。

(2007年3月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

 

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