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2007.4.25(水)更新  美・博ピックアップ
美・博ピックアップ
パリ時代の鮮やかさ再び

弥生美術館
「蕗谷虹児展 理知と官能の女性美」
 理知的であでやかな女性を描き、大正後期から昭和にかけて人気を博した挿絵画家・蕗谷虹児(1898〜1979年)。少女雑誌の表紙や挿絵のほか、詩や小説も手がけた。渡仏し、一時はエコール・ド・パリの画家として活躍したことでも知られる。今展は、挿絵原画や詩画集、パリ時代の作品など約400点を展示し、60年にわたる画業をたどる。(7月1日まで)

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「令女界」、36年3月号表紙。02年に文春文庫から復刊された菊池寛の小説「真珠夫人」の表紙としても使われた。

「花嫁人形」、70年。「金襴緞子(きんらんどんす)の帯しめながら−−」で知られる童謡の作詞も手がけた。

 柘榴(ざくろ)を持つ女、1927年、個人蔵

 母の死で一家離散し、波乱に富んだ少年期を過ごした蕗谷が20年に挿絵画家としてデビューしたのは21歳の時。瞬く間に人気作家となったが、挿絵は生活の手段に過ぎず、「正統派の画家として成功すること」が本望だった。本格的に絵を学ぶため26歳で渡ったパリでは、サロンに続けて入選、一流画廊で開いた個展も成功を収めた。しかし4年後、日本に残した家族が経済難に陥り、志半ばに帰国。借金返済のため再び挿絵の締め切りに追われるようになった。

 パリ時代に描かれ、行方不明だったこの水彩画は、現地の画廊で発見され、98年に日本に持ち帰られた。保存状態が悪く汚れていたが、修復されて約70年前の鮮やかな色彩がよみがえった。西洋の点描画法を使った背景に、仏画を思わせる輪郭線でパリのモダンな女性が描かれていて、独自の画風を確立しようとした試みがうかがえる。蕗谷が「画家」として過ごすことができた唯一の時代を物語る作品の一つだ。



(2007年4月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

 

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