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2007.5.9(水)更新  アートな仕事人

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美術品輸送
 
経験と技で「難所」越え
 
パネルをクレーンでつり上げ、レールに1枚ずつ固定して作業は完了。08年4月13日まで都現代美術館で公開中。
 「作品を借りた時の状態で元に戻すことが、私たちの役目です」。展覧会のために、遠く離れた場所からはるばるやってくる美術品。日本通運・関東美術品支店の河野浩二さん(52)は、美術品の輸送に携わって13年になる。アートが好きで希望した部署だが、最初は作品の持ち方一つから手探りの毎日。仏像の構造はどうなっているか、絵や額縁のどこがもろく、注意が必要か。「この仕事は経験がすべて。自分から聞かなければ誰も教えてくれません」。一通りのジャンルが扱えるようになるには10年ほどかかるという。

 現在は輸送チームを統括する河野さんが3年前からかかわるのが、03年にメキシコで発見された岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」再生プロジェクトだ。高さ5・5メートル、幅30メートルの超大作を屋外展示した昨夏の東京・汐留に続き、今年4月からは東京都現代美術館で展示するため、屋内に運び込むことになった。

 もっとも頭を悩ませたのは、3階の常設展示室まで上がるエレベーターに作品をどう載せるか。「明日の神話」は幅約2メートルのパネル14枚に分割されているが、それでも1枚があまりに大きく、縦にも横にも入らない。そこで重機を特注し、パネルを斜めに固定してエレベーター内に収める方法を採用。作品の大敵である「振動」や「ねじれ」に細心の注意を払いつつ、総勢10人で1枚ずつ慎重に運んだ。

 こうした大規模な作業に欠かせないのはチームワーク。「作品との付き合いも長いから、皆扱いをよく心得ている。職人気質の人が多いんですよ」。ノウハウを駆使して最善の方法を判断し、無事運び終えた時の達成感が、この仕事のだいご味だ。

(2007年5月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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