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2007.9.12(水)更新  アートな仕事人

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表具師
 
作品の装い新たに 後世へ
九嶋さん
 仕上がった掛け軸を巻く九嶋さん
 小さい頃から図工が好きだった。この仕事はその延長――。表装の制作・修復を手掛ける、東京都板橋区の彫美堂五井に勤める表具師の九嶋潤さん(37)は、こう語る。

 高校卒業後、ものを作る仕事に就きたくて、この道に入った。とはいえ、好きなことばかりが出来るわけではない。それがつらくて、やめたいと思ったことが何度もあった。そのたびに、「図工が好き」という思いと、顧客の人たちの「よかったよ」という声に励まされ、続けるうちに18年が過ぎた。

 表装というと、絵や書を掛け軸に仕立てる作業がまず思い浮かぶが、ほかにも、額装、びょうぶ、ついたて、和とじの本の仕立てなど、幅広い。なんとか合格点に作品を仕上げるのは当然だが、満点を出せたことはない。更に上を目指し、完璧(かんぺき)を求め続けている。美術展に足を運んでも、つい作品より表装に目が行ってしまう、という。時代とともに表装の世界も変化している。プラスチックや化学繊維など、新しい素材や、機械に対応する技術も求められる。

 高温にさらしたり、ボンドを作品に張ったりしては、計り知れないほどの負担が紙にかかってしまう。手で仕上げる「手打ち」の場合は、和紙をでんぷんのりで何重にもはり合わせ、加湿と乾燥を繰り返しながら仕上げていく。この方法なら水につけるだけではがれるため、修復もしやすい。繰り返し修復されながら何百年も受け継がれていくようにと考えてのことだ。

 「絵や書は、作品が主人公。それが少しでもよく見えるように、その作品に似合う服を考えていくだけ」

 出会う作品は毎日違う。その一期一会が楽しい。

(2007年9月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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