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2008.4.30(水)更新  匠の巧

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市松人形
 
丹精尽くし 命吹き込む
藤村さん
 筆で眉やまつげを描き、豊かな表情を作り出す
 くりっとした瞳、ほほ笑みをたたえた口元、ふっくらとした頬(ほお)。東京都墨田区本所の藤村明光さん(54)の工房には、「命」が吹き込まれた市松人形の愛くるしい顔が並ぶ。

 江戸中期の人気歌舞伎役者・佐野川市松にちなんで名付けられたとされる。子供たちが抱いて遊んだことから「抱き人形」の別名も。無病息災を願う親の気持ちが込められた。

 材料と技法は伝統的だ。桐(きり)のおがくずとのりを混ぜたものを型に入れて頭を作り、ガラス玉の目をはめ込む。カキなどの貝殻をすりつぶした胡粉(ごふん)とニカワで溶いた液を幾重にも塗った後、いったん胡粉に覆われた目を小刀で切り出していく。

 「目の切り出し方で、表情や性格が変わる。最も神経を使う作業です」と藤村さん。再び顔に胡粉を上塗りし、手足などをつけ、化粧を施して「命」を授ける。妻の正子さん(53)が作る着物を着せると、かけがえのない市松人形の完成だ。

 子供たちが人形を着せ替え、抱いて遊んだ時代は去り、飾るのが主流の現在。かつて全国に八十数人いた市松人形師は、約10人しか残っていない。

     ◇

 藤村さんの作品は、裸人形6号(22センチ)4万2千円から。詳細は、電話かEメール(TEL03・3621・0883、meiko‐doll@jcom.home.ne.jp)で。

市松人形/作品

(2008年4月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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