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2008.5.14(水)更新  匠の巧

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江戸鼈甲
 
磨き、使うほど美しく
堀さん
 都内に2カ所ある店舗では親子の誰かが常に実演している
 透明な橙(だいだい)と柔らかな茶のまだら模様が、光を受けてつやめく。熱帯海域に生息するウミガメの一種タイマイの甲羅が原料の鼈甲(べっこう)細工。その魅力は、職人の繊細な技術のたまものだ。

 まず甲羅を水につけ、軟らかくしてから形を切り出す。厚さをそろえるために何枚か重ね、熱した板にはさんで圧着。「どれほど熱し、いつ圧着機から取り出すかは、甲羅の硬さで変わる。勘だけが頼り」と東京・亀戸に工房と店舗をもつ磯貝實さん(60)。取り出したら、彫刻刀などで成形して完成させる。

 ツルツルの肌触りは、各工程でやすりや砂などで何度も磨き上げることで生まれる。磨く度に、そして使われるほどに美しさを増し、世代を越えて受け継がれていく。

 ワシントン条約に基づき、92年にタイマイの輸入が禁止された。数年前に沖縄で養殖が始まったが、輸入禁止当時は転職する職人が相次いだ。そんな中、磯貝さんの息子は3人とも後を継いだ。「材料が少ないなら無駄なく使い、卸売業者がいないなら自分で売ればいい」。息子たちが甲羅の端を使って作る小さな音符のピアスやハートのブローチは、今や人気商品となっている。

     ◇

 かんざし1万円前後、ピアス6千円から。詳細は江東区亀戸3の3の6の鼈甲磯貝(TEL03・5628・1244)へ。

江戸鼈甲/作品

(2008年5月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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