今回は、朝日新聞夕刊で連載中のスイーツコラム
「オトコの別腹」に掲載予定だった記事と、昨年12月14日に行われたそのインタビュー全文を掲載します。
志村さんの人となりを感じていただければ幸いです。
【「オトコの別腹」1月12日付け掲載予定記事】
「桔梗屋」の桔梗信玄餅 志村正彦さん(フジファブリック)
ぼくは山梨県出身なんですけど、桔梗屋の桔梗信玄餅も同じ。物心つく前から家にあって食べていました。快感ポイントは、いかにきなこをこぼさないで食べられるか。こぼさなかったときは大人になったなあと感じます。
いまは里帰りのときにメンバーや事務所スタッフに買っていったり、家族がライブを見に来るときに差し入れてくれたりして、みんなで食べますね。いつかまだ見ぬ彼女に「これ、実家のご家族に渡しなよ」と言って買ってあげるのが夢です。
「ストロベリーショートケイクス」という曲を作ったくらい、甘いものは好き。曲作りはかなり集中・緊張するので、甘いものをとるとおおらかな気分になっていいんです。
◆東京都渋谷区千駄ケ谷5の24の2、新宿高島屋(☎03・5361・1111)ほか池袋西武百貨店など。580円から。
しむら・まさひこ ロックバンド「フジファブリック」のギターボーカル。アルバム「クロニクル」発売中。
【インタビュー全文】
――信玄餅との出会いを教えてください。
物心つく前からありましたね。ぼく山梨県富士吉田市出身なんですけど、何歳くらいでしょう、家にあったって感じですね。床の間に。
――信玄餅を最初に食べたとき、どんな味だと思いましたか。
甘いっ!(笑)
――もともと甘いものはお好きですか。
ぼく甘いもの好きです。フルーツ、チョコ、ケーキ・・・あえていうならケーキ。ぼくらの曲で「ストロベリーショートケークス」って曲があるんですけど、ショートケーキとか好きです。誕生日や特別な日に食べたいですね。
――どういうときに甘いものを食べたくなりますか。
疲れたときや仕事の合間に。音楽やったり曲作ったりするとだいぶ集中するんで、緊張してるときに甘いものや糖分をとると脳が活性化されてとてもいいと思います。お客さんから甘いものの差し入れをもらうときもあります。
――甘いものを食べるとどんな気分になりますか。
裕福な気分というか、ちょっとおおらかな気分になりますね。制作のときは第三者がいるので、ガムとか食べると態度悪いからスタジオに置いてあるアメとかなめてます。ミルク味のアメが好き。あとフリスクのピンク色はいつも携帯しています。
――信玄餅の話に戻りますが、志村さんの食べ方を教えてください。
信玄餅といえばですね、きなこが上にあって、長方形のお餅が三つ入っているんですよね。まず真ん中のお餅をあげて、そうすると隙間ができるので、そこに蜜を入れます。その蜜をきなこと混ぜていって食べます。だんだん味が濃くなってきなこが残っていくんですけど、蜜をべたべた交ぜて食べます。
――里帰りのときは必ず食べる、さみしくなったら食べる、現場に差し入れするなど、信玄餅とのかかわりを教えてください。
自分で食べるっていうより東京で働いているので、里帰りのときに信玄餅を買って、職場の同僚だったりメンバーだったりに渡すことはあります。あとですね、家族がライブを見に来るときに買ってきてくれます。20個くらい入ったものでひとりでは食べきれないので、事務所のみんなで食べます。ぼくは1個で十分!(笑)蜜が特徴的ですね。
――信玄餅にまつわる思い出深いエピソードはありますか。
信玄餅といえば、必ずこぼれるんですよね、きなこが。こぼれないように食べて、一滴もこぼれなかったときの快感! こぼさないで食べられたときの、あの大人になったような快感・・・20歳くらいのときにマスターしましたかね。
――信玄餅においても成人になったという・・・。
(笑)今日落としましたけど・・・。
――信玄餅を知らない友人がいるとします。そのよさやうんちくを伝えてください。
なかなかきなこを食べる機会ってないと思うんですよね、チョコはあるかもしれませんけど。きなこは体によさそうですし、せっかくの機会ですし、信玄公が食べたかもしれないお餅を一回食べてみたらいいと思います。ちなみに福岡に「筑紫餅」ってのがありまして、まったく同じなんです。どちらが後追いしたのか、山梨県民と福岡県民の間で議論になってるんですよ(笑)
――今後どんなシチュエーションで誰かにあげたり、自分で食べたりしたいですか。
いつか・・・35歳とかにはですね、山梨県の一番東京よりの駅、大月らへんで、中央線から富士急行線に乗り換えるときに信玄餅を販売店で見て、彼女に「これ実家に渡しなよ、送りなよ」とか言いながら買ってあげるの夢ですね。まだ誰もいないですけど(笑)ぼくいま29なんですけど、35くらいに結婚したいです。願望ですね。
――先ほどきなこが体によさそうとおっしゃっていましたが、健康面で気を遣っていることはありますか?
健康に気を遣っていることは全然ないっす・・・あ、キレートレモンは飲んでる!(笑)
――信玄餅を販売している桔梗屋のテーマは「地球上でもっともお客様を飽きさせない企業であること。伝統や既存の価値観を大切にしながらも、常に新しい視点、切り口でお客様を『あっ』と驚かせる場であること」といいます。音楽にも通じるところがあると思いますが、ものづくりのうえで大切にしていることはありますか。
音楽を作るうえで、やっぱり一曲ずっと聞いてもらいたいので、飽きさせないような工夫はしています。ちょっとしたアレンジメントだったり、歌詞の解釈だったり。あるワードを入れることによって、捉え方がちょっと変わることもあるので。「君が好き」ってワードがあったら、フジファブリックはそういうことは歌わない。むしろ「君のことは嫌いじゃない」って言う。そうすると好きになるかもしれないし、普通になるかもしれないし、でも嫌いじゃない。だからお客さんにとっても「この人のことは好きなんだ」っていう明確なことを歌っているのではないから、いいように解釈できる。リスナーの想像次第で、すごいラブソングにもなるし、友達の歌にもなるし、そういう曲を作ろうと心がけています。でもたまにすごいラブソングを作ると、すごい反応があってうれしいです。
――なかでも直球で出せたなという楽曲はありますか。
「茜色の夕日」です。好きな人がいたんだけど離ればなれになって、でもいつかその人に自分のことを理解してほしいから曲を作って、届けようと思ったんです。最終的に届いてよかったですね。
――最後に、信玄餅に一言お願いします。
こんな主力商品があるので、このスタンスのままいってもらいたいです。ラーメンでいう永福町の大勝軒みたいな。そこは近所の人を飽きさせないように1年に2、3回味換えをするんですけど、信玄餅もそういうものがあるとずっと食べていけるのでうれしいです。
――ありがとうございました。
【おまけ】
山梨県富士吉田市出身の志村さんは、地元名物「吉田うどん」のファン。一番のおすすめ店は「みうらうどん」とのこと。