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2007.7.3(火)更新  味の地球儀@tokyo

 
 イスラエル
ファラフェル ファラフェル
 少年の日の記憶とともに
 
 
北岡さん
 丸いパンにファラフェルを詰めたファストフードは、北岡さんの好物=撮影・久保寺誠
 料理を食べてもらう喜び――。レストラン「シャマイム」の北岡タルさん(31)がそれを知ったのは、軍隊にいたときのことだ。「夕食の後でおなかがすくと、ありあわせの材料で料理を作った」。オムレツや野菜いため、時には、みそ汁や天ぷらも。仲間に振る舞うと、「おいしい、おいしい」と喜んでくれた。それが、原体験だ。

 日本人の父とイスラエル人の母の間に生まれ、イスラエルで育った。高校を卒業して兵役に服し、それを終えて22歳で、父の祖国に単身でやってきた。つてを頼って「シャマイム」で働き始め、オーナーに腕を見込まれて、3年後には店を任された。

 メニューの中で、一番の人気は「食べ放題コース」。ビュッフェのようにお客が自分で料理を取り分けるのでなく、店員が料理を運んでくれる。トマトとひよこ豆のスープ、羊肉のシシカバブ、レンズ豆入りご飯……。全部で15品、食べたい料理は何度でも注文できる。

 この中の一品、「ファラフェル」は、粗びきしたひよこ豆とハーブの素揚げ。かじると中身の鮮やかな緑色に目を奪われる。食感は、コロッケというよりメンチカツという感じ。表面はカリカリ、羊肉を使っているような味もするが、植物素材100%。ハーブがきいていて、しつこくない。

 中東の料理で、イスラエルではファストフードとして親しまれている。野菜や、ゴマなどのペーストと一緒に、丸いパンに詰めて食べる。これには、北岡さんの思い出も詰まっている。中学生のころ、学校帰りによく買って食べた。母親が外で働いていたから、夕飯までにおなかがすくだろうと、いつもお小遣いを持たせてくれた。台所に立って料理らしきものを始めたのも、母の帰りを待ちきれなかった、あのころだ。

 食べることは記憶を紡ぐこと。「自宅に友人たちを招いた時のように、ゆっくり過ごしてほしい」。制限時間なしの食べ放題コースに、その気持ちを込めている。

 【シャマイム】
 東京都練馬区栄町(江古田駅、TEL03・3948・5333)。午後5時〜11時ラストオーダー((土)(日)は正午から)。(月)休み。ファラフェル525円(4個)。ひよこ豆のペースト「フムス」は315円から。「開店当時から値上げしていない」という食べ放題コースは2100円。
(2007年7月3日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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