住宅街に小さな国旗がはためく建物がある。中に入るとすぐに地下へと続く階段。下りていくとそこに客席が広がり、壁には色とりどりの絵画が掛かっている。
「コートロッジ」中野店は、15年前に開業したスリランカ料理店。重厚感のある落ち着いた造りで、大使館員のパーティーにも使われる。世界中を飛び回る実業家のヒューバート・ジャヤコディーさんがオーナーだ。
「スリランカカレーのおいしい食べ方を教えましょう」とヒューバートさんは身ぶりを交えて話す。コツは「よく混ぜる」こと。ご飯がもられた皿に、最低3種類のカレーをかけ、よく混ぜてから食べる。ヒリリとする辛み、ココナツの香り、野菜の甘み−−。味だけでなく、色、香りまでもが皿の上で合わさりマイルドな口当たりになる。カレーの種類や分量を変えれば、自分の好きな味に調合することができる、というわけだ。
酸味や渋みも感じる複雑な味はカレー用ハーブがつくる。その代表がランペとカラピンチャの2種。ともにスリランカでは多くの家庭の庭先で栽培される、カレーに欠かせない植物だ。ランペは豆を炊いたような香りが特徴で、肉や魚と合わさるとさらに香ばしい香りが立つ。カラピンチャはスパイシーで強い風味を付ける。
90年。大阪で「花博」が開かれた。スリランカパビリオンの企画運営を手がけたヒューバートさんは、多くの人でにぎわうパビリオンの光景を見て、思った。「このお客さんのためにレストランを開きたい」。神戸で経営していた宝石店を改装し、1号店が誕生した。
今夏オリジナルレトルトカレーを開発した。過去の博覧会や野外の催しなどで冷凍カレーを販売していたが、土産にできるもっと便利な形にしたいと考えた。エビ、マトンなど全9種。ヒューバートさんのアイデアと情熱で、スリランカ文化がさらに世界に広がっていく。