築約100年の古民家の材木を使った黒々とした梁と床。北欧アンティークの家具や、国旗の色の青と黄色のクロスのかかったテーブルには、木製の伝統工芸品「ダーラナ馬」が並ぶ。東京・六本木の喧騒をよそに、「リラ・ダーラナ」は、まるでスウェーデンの田舎の一軒家のような雰囲気でたたずむ。
□ □
スウェーデンの家庭料理を代表するミートボール。牛や豚、時にはトナカイの肉で作る肉団子には、肉汁のソースのグレイビーと、甘酸っぱいリンゴンベリー(ツツジ科の果実)のジャムをからめて食べる。
肉団子にジャム? 食べてみると、ジャムの酸味が肉の臭みをやわらげ、まろやかな味わいに。
冬が長いスウェーデンでは、魚や肉、野菜を塩漬けや薫製、日干しにして貯蔵する。サーモンのマリネ、ニシンの酢漬けは今も昔も変わらない保存食の一つだ。
所有者に関係なく誰もが自然を楽しむ権利「自然享受権」が法律で認められているため、7〜8月に全土で一斉に実をつけるリンゴンベリーを摘み、生食やジュースのほか、酒に漬けたり、ジャムにしたり、形を変えて一年中利用する。
ミートボールの付け合わせの定番はマッシュポテト。ジャガイモは、スウェーデン料理には欠かせない食材だ。スーパーには常時5〜10種のジャガイモが並び、新ジャガの季節には、ゆでたジャガイモに、ハーブのディルとニシンをのせて食べるのが「至福の時」という。
□ □
店長の遠藤芳男さん(34)は、14年前、スウェーデンで修行を積んだ「北欧料理一筋」の日本人オーナーシェフの心意気に魅せられ、リラ・ダーラナで働き始めた。
「スウェーデン料理は、食材が日本と似ているだけでなく、伝統を大切にしながら新しさを取り入れるところもそっくり。手の届きやすい食文化の国です」。特有の素朴でやさしい味を追求する。
店は、夜遅くまであたたかい灯がともる。