ピンク色の冷たい「サワーチェリーのスープ」は、ハンガリーでは春から秋にかけて食卓にのぼる代表的な料理だ。
サクランボのほか、イチゴや桃など季節の果物を使ったスープもよく飲まれる。デザートのように見えるが、前菜の後にいただく。メーンディッシュを邪魔しない甘さに仕上げてある。
作り方はサワーチェリーと水を火にかけ、生クリーム、サワークリーム、小麦粉を加えて煮る。冷ましたらできあがりだ。
このスープが大好物という東孝江さん(50)は、欧州の雑貨輸入会社を経営、ハンガリー料理店「アズ・フィノム」のオーナーでもある。初めてこの国を訪れた15年前、ドナウ川の流れる景色に魅了された。いまでは料理、音楽など同国にまつわるイベントのプロデュースも手がける。
「食器との出合いがハンガリーを好きになったきっかけです」
名陶磁器ブランド「ジョルナイ」。その高い芸術性にひかれ、日本に知らせたいとレストランを思い立った。ブランドと同名の店を01年に開業。調度品はジョルナイでそろえ、内装もこの食器からイメージした。店名の由来を聞かれることも多く、説明するのがうれしかったという。
運ばれてきた白色のスープカップには、金色のラインが滑らかに描かれている。サワーチェリーのスープにスプーンを入れると、ころころと丸ごとの実があたる。酸味と甘さを乳製品がまろやかにまとめた。
この夏、東京・外苑前に移転、アズ・フィノムとして生まれかわった。気軽にハンガリーワインを楽しんでもらおうと、以前の店より価格を抑え、本格的なコースのほかに家庭料理もとり入れた。現地のシェフが作るごはんの入ったロールキャベツや、ハンガリー料理に欠かせないパプリカを使ったスープ「グヤーシュ」も人気だ。
相変わらず食器はジョルナイ。スープとともに、優美な器を目で楽しむぜいたくを味わえる。