土曜日、午後9時すぎ。埼玉県草加市のレストラン「ガーナハウス」は、文字通り「ガーナの家」になる。
日本で数少ないガーナ料理店として、東京、神奈川などからも、仕事を終えたガーナ人たちが次々と訪れる。
昼食時は地元の日本人が多いが、夜になると飛び交うのは、ガーナの現地語と英語、それにちょっとだけ日本語。ガーナ人と日本人の夫婦や家族連れ、友人同士で30席ほどの店内が埋まる。料理と会話で盛り上がり、しばし望郷に浸る時間だ。
イモや米を使ったガーナの主食の一つフフは、右手で一口分つまみ、シチューやスープにつけて食べる。白っぽく餅のように柔らかいが、食感は軽く舌触りはなめらか。粉を使う場合は、少しずつ水を足しながら粘り気がでるまで混ぜる。「これは男の仕事」と店主のボアテン・チャールスさん(38)。相当な力が必要で、額に汗しながら話した。
ガーナではヤムイモや料理用バナナなどをキネと臼でつぶして作る。子どもの頃、森の中の畑まで食材を採りに行き、キネをつく手伝いをしたそうだ。
シチューのベースはピーナツバター、トマトなどが代表的で、鶏肉やサバなどの具が入る。
メニューにオクラやホウレン草を使ったシチューもあった。食材のほとんどはガーナから輸入している。粘り気と魚のうまみが出たシチューに、かすかにトウガラシの辛みが効いて、フフの素朴な味わいと合う。
店は今年4月に夫婦で始めた。ボアテンさんは7年前、日本語を学ぶ学生として来日、車の輸出入を手掛ける多忙な毎日を送る。料理はガーナ人の妻が作っている。「妻の料理はガーナの家庭の味。何度も来る客が多いのは、おいしい証拠」と胸を張る。
店内では、ボアテンさんの小さな「看板娘」2人が愛敬をふりまき、客の顔には自然に笑みが浮かんでいた。