「ウナギは煮込んだりテリーヌにしたりして、イタリアでもよく食べるんだよ」。東京・代官山にある「デロンギーズ トーキョー」1階リストランテのシェフ、エルネスト・ステファーニさん(38)は、父親が釣ってきたウナギをバスタブに放して騒動になったエピソードを交えて懐かしそうに話す。
イタリアの家電メーカー「デロンギ」が、同社製品だけでなく、イタリアの文化をもっと身近に感じてもらおうと、9月にオープンした。同社が本社を置くベネト州はイタリア北部に位置する。州都はベネチア。エルネストさんは、その近くの街パドバ出身だ。
イタリア料理というと、パスタやピザのイメージが強いが、この地方では米もよく食べる。様々な食材と組み合わせ、「ベネト州には365種類のリゾットがある」と言われるほどだ。
「うなぎのリゾット」に使っている米は、イタリアから取り寄せている。三つ星レストランでも使っている高級米だ。日本の米よりも粒が大きめで、煮込んでも歯ごたえがある。ウナギのうまみがしっかり米に染みこんでいるが、くどくない。ウナギは日本産。あぶった皮のパリパリした食感が、もっちりとしたリゾットとよく合う。ただ、日本と違ってイタリアでは皮は食べないそうだ。
エルネストさんは、子どものころからよく家族で食材狩りに出かけた。ベネチア近くで魚をとったり、山や森でカモを仕留めたり、キノコを採ったり。多くの人が食材を求めて殺到するため、狩りのできる地域や時期は、厳しく取り決められている。キノコを採るにもライセンスが必要で、根をむしらない、などと細かく決められている地域もあるという。
ヘルシーな物が好きだったり、食べ物の話題が豊富だったりと、「日本人の食に対する情熱はイタリア人とよく似ている」とエルネストさんは言う。
同店では今後、イタリア各州からシェフを招き、多様な地方料理を紹介する予定だ。