「日本人みたいな顔をした人がいっぱいいますよ」。東京都世田谷区のレストラン「エリック ピエール」のオーナーシェフ、エリック・ピエール・ランドリアマンピアニナさん(43)は、満面の笑みでマダガスカルのことを話す。
同国はアフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ島だ。バオバブや固有種のサル、アイアイなどといった個性的な自然で知られる。ルーツがマレー・ポリネシアにある主要民族のアジア系のほか、アフリカ、欧州、アラブ、インド系も混在する多様な文化の島でもある。
食事は、何よりご飯。三度三度の食事に欠かさず、しかも山盛りが出る。白いご飯に、肉や野菜の煮込み、豆料理、スープなどをかけて食べる。1人当たりの年間消費量は日本の約2倍。水田が広がる風景はまるでアジアだ。
イタリア料理屋だが、マダガスカルのことを伝えたいと、予約制で同国料理を出し、月に1度ビュッフェ形式の料理と文化紹介を兼ねたイベント「マダガスカルナイト」を開いている。
看板料理は、雑炊「ヴァリアミナナナ」。小松菜と桜エビ、肉団子が入る。ブイヨンのスープに、ショウガがさっぱりとした風味を加えている。日本でなじみ深いものばかりだが、同国でも定番の食材だ。
ショウガ以上に使われるのが、トウガラシ「サカイ」。現地ではティースプーンに山盛り1杯かけるが、慣れない人は数粒でも涙が出るほど辛い。
子どものころ、登校途中にリンゴを買い、サカイと塩を擦り付けて食べた。「辛くてしょっぱくて酸っぱくて、なぜか元気がでる。みんなそうしていた」という懐かしい味でもある。
料理人として来日して18年。味を通じて「行ってみたい国だと思わせたい」と、「食の外交官」はほほえんだ。