懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行
2007.9.27(木)更新  秋元 康 ナビゲート 夢中力/本から得られる未知の世界
秋元康 ナビゲート 夢中力 バックナンバーへ    コラムのトップページへ   

秋元康 ナビゲート 夢中力
 
本から得られる未知の世界

読書   歌手 中島美嘉さん

 週に3冊は読破する。同じような読書家は多いだろうが、中島さんの場合、読むのはノンフィクションだけ、という前置きがある。

 本が身近になったのは、芸能界の仕事を始めてから。移動や待ち時間の格好の暇つぶし、という軽い気持ちだったが、ノンフィクション作品に出会い、のめりこんだ。

 「この世界に入るまで、世の中のことをあまり勉強してこなかった。ノンフィクションの本には、私がそれまで生きてきた中ではまったく知ることのなかったさまざまな現実がつづられていた。衝撃でした」

 印象に残っている本は、デイブ・ペルザー著「“It”と呼ばれた子」。米国カリフォルニアで起きた、史上最悪と言われる壮絶な児童虐待を受けた著者が告白する衝撃の1冊だ。18歳で精神病棟に入れられた著者が、そのとき出会った少女たちの狂気と正気を描いた物語「思春期病棟の少女たち」(スザンナ・ケイセン著)も胸に響いた。

 「人間の内面の怖さを描いた内容に引かれる」。小説はあまり読まない。「小説には小説のすばらしさがあるけれど、今の私にはリアルな物語のほうが響いてくる」

 怖いものになぜ引かれるのか、考えたことがある。「どこかゾッとするような美しいものが好きだと気づいたんです。たとえばフランス人形のような」

 夢や希望を歌っているにもかかわらず、なぜかクールなイメージばかりで見られるという中島さんだが、「怖さと美しさという表裏一体に存在する世界観を、どこか自分自身にも求めているのかもしれない」と、つぶやいた。

 本屋には必ず自分で出向く。ぶらぶらしながら感性に触れる本を探しあてるのも貴重な息抜きの時間だ。

 「内容を吟味するというよりは、タイトルや帯で選ぶ。CDの『ジャケ買い』みたいな感覚ですね」

中島美嘉さん
人気作家の本を手に取る中島さん。人間の内面にひかれるからこそ、人の心に響く歌が歌えるのかもしれない=東京都渋谷区で
このコラムの感想を送る(登場人物の名前を明記してください)

 なかしま・みか 
 1983年生まれ、鹿児島県出身。2001年、「傷だらけのラブソング」のヒロインに起用され、主題歌「STARS」でCDデビュー。「WILL」「雪の華」など数々のヒット曲を放つ一方、05年、映画「NANA」に主演するなど、女優としても活躍する。映画「サウスバウンド」主題歌「永遠の詩」を10月3日にリリース。公式ホームページ(http://www.mikanakashima.com)。
趣味はターニングポイント

 デビュー曲の詞を書く場合、普通は、アーティスト本人と会い、打ち合わせをする。本人と実際に会うことによって、そのアーティストの人となりを探り、詞を書く上でのヒントにするためだ。

 中島美嘉は、芸能界でスターになって行く様を描いた連ドラのヒロインに抜擢(ばってき)され、彼女が歌う主題歌がデビュー曲となったが、僕は、一度も会うことなく、詞を書いた。資料は、簡単なプロフィルと写真だけ。先に作られた曲を聴きながら、彼女の写真を見ているうちに、はかなげな目に惹(ひ)かれた。何かをあきらめたようなため息に似た彼女の目は、逆に、何かを信じたいという渇望を感じさせた。

 「やっぱり あの星は見つからなかったと 夜空に背を向けた 願いに疲れた自分がいたよ」というフレーズから始まるデビュー曲「STARS」は、彼女の写真からイメージが膨らんだものだ。

 その後の中島美嘉の成長ぶりには目を見張るものがある。自分の言葉で詞も書くようになった。趣味が「読書」と聞き、また、よく読む本がノンフィクションと聞き、その理由がわかったような気がした。人の数だけ、人生があることに気づいたのではないだろうか。自分は自分の道を行く。そんな揺らぐことのない自信を持ったのだと思う。

 ラジオの収録で、久しぶりに会った時、中島美嘉は輝いていた。その目は、やはり、はかなげであったが、流れ星のように一瞬を大切にする煌(きらめ)きがあった。

秋元 康さん

 あきもと・やすし
 1956年、東京生まれ、作詞家。4月1日付で京都造形芸術大副学長に就任。
 ◆「17歳のカルテ コレクターズ・エディション」(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、3990円)
  本文中に出てきた「思春期病棟の少女たち」を映画化した作品のDVD。ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリーら出演。

 ◆「es(エス)」
  ノンフィクション好きの中島さんが印象に残っているという映画。アメリカの大学で実際に行われた心理学実験を題材にしたもので、被験者が看守と囚人役に分かれ、監獄で2週間過ごす。実験は暴力がエスカレートして中断。極限の状況下で起こる人間心理を描いている。

(2007年9月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
 

 

asahi-mullion.comトップページへ
サイトマップ | 会社案内 | 朝日マリオン・コムとは | 姉妹メディア | 会員規約 | 個人情報・著作権
asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2007 Asahi Mullion 21. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.

懸賞サイトは朝日マリオン・コム-懸賞 プレゼント、懸賞 応募、懸賞 旅行