読んでたのしい、当たってうれしい。

アートリップ

杜(もり)のうた 
ジョージ・ツタカワ作(仙台市宮城野区)

水の造形 緑に包まれて

池は直径10メートルほど。高さ約4メートルのブロンズ彫刻から、滝のような音をたてて水が落ちる=谷本結利撮影
池は直径10メートルほど。高さ約4メートルのブロンズ彫刻から、滝のような音をたてて水が落ちる=谷本結利撮影
池は直径10メートルほど。高さ約4メートルのブロンズ彫刻から、滝のような音をたてて水が落ちる=谷本結利撮影 園内の池田宗弘作「旅人(羊飼い)」=谷本結利撮影

 「ジョージ・ツタカワ」。仙台市・榴岡(つつじがおか)公園で噴水彫刻を撮影していた男女の言葉に、思わず振り返った。沖良三さん(72)と妻秀子さん(70)。彼らは本作の作者の甥(おい)夫婦で、たまたま、米・シアトルから一時帰国し、この地を訪れていたのだ。

 ジョージ・ツタカワ(1910~97)は、シアトルで活動した日系2世の彫刻家だ。噴水と彫刻を融合した「噴水彫刻」を、米国を中心に数多く手がけた。父親が貿易商だった関係でシアトルに生まれ、小学校からは広島県福山市で過ごすも、17歳で単身帰米。大学で美術教授を務める傍ら、作品を制作した。

 「伯父は温厚で、自然を愛する人でした」と沖さん。山や湖に出かけては、風景や生き物を描いていた姿を、今も覚えている。「生命の源は水。雨が降り、人間の体を通って、やがて天に戻る。その絶え間ない水の循環を、噴水作品で表現していると言っていました」

 本作は「仙台市彫刻のあるまちづくり」事業で、81年に設置された。フォルムは、樹木からヒントを得たという。頂上や中腹から噴き出す水が、枝のように突き出た部分にあたり、雄大な水の造形を生む。「杜の都の豊かな緑と、水の動きが一体となった憩いの場です」と、元市職員で彫刻ガイドを務める村上道子さん(66)。子どもたちが噴水池で遊ぶ季節がやってきた。

(渡辺香)

 榴岡公園

 11.3ヘクタールの敷地に、1874年建造の洋風木造建築「市歴史民俗資料館」や芝生広場がある。5月上旬~中旬、園内のツツジが見頃を迎える。1977年から24年間続いた「仙台市彫刻のあるまちづくり」事業では、園内に2作品、市内全体では24作品が設置された。月1回程度、市内をめぐりながら市民ボランティアが作品を解説する彫刻ガイドを開催。問い合わせは、仙台市百年の杜推進部(TEL022・214・8389)。

 《アクセス》仙石線榴ケ岡駅から徒歩5分。


ぶらり発見

地酒自販機

 榴岡公園のある榴ケ岡・宮城野エリアは、江戸時代の仙台藩から続く寺町。仙台駅から出発し、孝勝寺五重塔などの寺巡りをしながら公園へ向かうのも趣がある。問い合わせは仙台市観光情報センター(022・222・4069)。

 仙台駅直結エスパル仙台東館2階、藤原屋みちのく酒紀行エスパル仙台店(TEL357・0209)の地酒自販機=写真=が話題。1杯(約30cc)100円。5種類の中からボタンで選び、専用カップに注ぐ。毎日立ち寄る常連客もいるのだとか。

(2017年5月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

アートリップの新着記事

新着コラム