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アートリップ

猿結参道(えんむすぶさんどう) 
渡辺元佳(もとか)作(東京都中央区)

銀座の路地へ道案内

頭をなでて握手する人もいる=横関一浩撮影
頭をなでて握手する人もいる=横関一浩撮影
頭をなでて握手する人もいる=横関一浩撮影 銀座らしく都会的な鳥居にとステンレスを使用。参道の地面には斜めのラインを入れて動きを出した=横関一浩撮影

 銀座四丁目の交差点からほど近く。猿の彫刻が宝童稲荷(ほうどういなり)神社へと招く「猿結参道」がある。

 作者は彫刻家の渡辺元佳さん(36)。北海道出身の渡辺さんは、チンパンジーや羊など動物をモチーフにした作品が多く、パブリックアートも手がけている。

 本作が完成したのは2016年。その2年前、ビルの建て替えにあたり、「新しい建物と街のモニュメントになるものを」と名古屋鉄道に依頼され、参道と猿の彫刻3体を制作した。彫刻は、発泡ウレタンを削って原型を作り、富山県高岡市の工場で砂型を取りブロンズで鋳造。酸で腐食させた黒染めと、ブロンズそのままの生地を生かし、「イボタロウムシ」の分泌物を原料とするワックスでコーティングした。「伝統的な技法で新しい表現をしたかった」と渡辺さん。

 参道を通り抜けた左側には、親子にもカップルにも見える2匹の猿がお参りする人を見守る。申(さる)年に完成したことと、猿(えん)は縁(えん)にもつながるので猿結参道。「人と人の気持ちをつなぐような存在になってほしい」と渡辺さんは語る。

 子育て神社として地域の人に大切にされる宝童稲荷神社。銀座西四丁目町会「銀友会」会長の高橋純さん(68)は、「昔はもっと多くの路地が通り抜けられた。でも、新しく参道ができてお参りする人もお賽銭(さいせん)も増えました」と笑った。

(清水真穂実)

 宝童稲荷神社

 江戸時代、将軍家の跡継ぎの成長を祈るため、江戸城に祀られていた神社から、名主の弥左衛門が分祀(ぶんし)したといわれる。子宝、子育てのご利益や良縁のほか、周辺を創業の地とする大企業が多いことから、商売繁盛を願う人も。「銀ブラ」を楽しむキツネと猫を描いたクリアファイル型のおみくじ(300円)が人気。11月1日~3日は「銀座八丁神社めぐり開運スタンプラリー」を開催。

 《アクセス》銀座駅から徒歩2分。


ぶらり発見

弥左エ門いなり

 宝童稲荷神社向かいにある五十音(TEL03・3563・5052)は、ボールペンと鉛筆の店。津軽塗や、目盛りの付いた長方形の鉛筆など、こだわりの文房具に出合える。予約制。詳細は問い合わせを。

 猿結参道の手前にある銀座魚勝(TEL6264・4774)の弥左エ門いなり(写真、1100円)。ユズの香の「香る五目」と黒ごまがアクセントの「わさび穴子」の2種、8個入り。黒糖とてんさい糖のやさしい甘さで日本酒にも合う。(火)~(金)、午前11時半~なくなり次第終了。持ち帰りのみ。

(2017年10月3日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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