五十三次 府中
日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか
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2008年 |
油彩でキャンバスに描くことに変わりはないが、現代アートと呼ばれる絵画は果たして「洋画」?
特定の団体に属さず、世界的に活躍する日本人画家も多い今、「洋画であることを意識する画家は少ない」と学芸員の久保田有寿(あず)さんは話す。重厚感を与えるための額縁を用いず、サブカルチャーなどの新たな要素も取り込んで、軽やかに表現する傾向にあるという。
バンコクでも活動した現代画家、小林孝亘(たかのぶ)による本作。木々と階段という身近な風景が簡略化され、一見アニメのワンシーンのようにも見える。油彩特有の凹凸はなく、表面が均一に塗られる。
明治に始まる「洋画」の歴史をたどる今展。高橋由一(ゆいち)から奈良美智(よしとも)までを通観すると、その表現の多様性や、定義の難しさを目の当たりにする。