五十三次 府中
日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか
|
色とりどりの花の映像が、60平方メートルの暗い室内一面に広がる。見る人がじっとしていると花は咲き乱れ、壁に触れたり、室内を走り回ったりすると散る。本作は「鑑賞者の振る舞い」をテーマにしたデジタルアート。プログラムが人の動きに反応し、瞬時に花の様子を描き出す仕掛けだ。
花を題材にした背景には、自然環境への考察がある。人間の行為は自然を死へ追いやりもするが、一定の距離を保つことによって再生を促す。自然への寄り添い方を静かに伝えているかのようだ。
「本作では、他の鑑賞者の存在も重要」とチームラボ担当者。自分と同様、他者の振る舞いもまた、作品に影響を与えている。