読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

「雪輪屛風(ゆきわびょうぶ)」

志村ふくみ展(名都美術館)

「雪輪屛風(ゆきわびょうぶ)」
2003年 滋賀県立近代美術館蔵

 1968年、滋賀・近江八幡から京都・嵯峨野へ移り住んだ志村ふくみ(93)は、母の豊(とよ)から独立。その後は、精力的に創作活動をしながら、世界各地を旅して、表現の幅を広げた。

 この「雪輪屛風」(展示は2月12日まで)は79歳の時の作。体調を崩して療養中に、以前購入した金屛風を見て着想したという。「日々の生きるしるし、私にとって日記のようなもの」という紬織(つむぎおり)の残り裂(きれ)を、雪輪や松皮菱(びし)、水車、源氏香など、日本の伝統文様の形に切り抜き、屛風に貼った。

 今展の作品すべてを所蔵する滋賀県立近代美術館の元学芸員・桑山俊道さん(66)は、「マチスの晩年の切り絵作品に影響されたのでは」と話す。「色や形で四季を表しているよう。遊び心が感じられますね」

(2018年1月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

今、あなたにオススメ

美博ノートの新着記事

  • 五十三次 府中 日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか

  • 五十三次 大磯 女性を乗せ、海沿いの道を進む駕籠(かご)。担ぎ手たちが「ほい、ほい」と掛け声を出して進んだことから「ほい駕籠」とも呼ばれた。

  • 三菱十字号 トヨタ博物館「お蔵出し展」

  • トヨタライトバス 「トヨタライトバス」は1963~69年、当時の荒川車体工業(現トヨタ車体)が製造した22人乗りの小型バス。

新着コラム