五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
近代の日本画約250点を所蔵する桑山美術館。今展では、同じテーマで描かれた日本画を複数並べ、見比べて楽しめる。
まずは「美人画」対決。京都の女性画家・上村松園の「春風」(1940年頃)=写真上=と、東京で活動した画家・鏑木清方の「秋の錦」(48年)=同下。「解説を読む前に、自分はどちらが好きか、それはなぜか、考えてみてください」と同館学芸員の前田明美さん。
松園が描く女性は、着物や髪形がおしゃれで、気品がある。清方は、手のひらの紅葉を見つめる様子が物憂げで、物語の一場面のようだ。「松園は、同性ならではの視点がうかがえる。清方は男性なので、色白で細面、どこか儚(はかな)げで守ってあげたくなるような、自分が理想とする女性像を描いたのかもしれません」