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ぶらり、ミュージアム

君は百段階段を知っているか!?

(目黒雅叙園)

東京都指定有形文化財「百段階段」
東京都指定有形文化財「百段階段」
東京都指定有形文化財「百段階段」 室内すべて純金箔、純金泥、純金砂子仕立ての「漁樵の間」 「十畝の間」。映画「利休にたずねよ」と百段階段がコラボレーション

 円安の影響もあり日本を訪れる外国人旅行者の数も増えているそうですが、もし彼らを都内で日本らしい場所に案内するとしたら、どこが頭に浮かびますか。この世のものとは思えない絢爛豪華で摩訶不思議な空間が、山手線目黒駅からほど近いところに存在していることご存じでしょうか。

 その名も「百段階段」。名前からして好奇心、珍しい物見たさがふつふつとわいて来ます。「侘び・寂び」の世界とは対極をなす日本の美。百段階段の途中に在る7つの部屋は、壮麗なバロック建築にも勝るとも劣らない絢爛たる言葉によって紡がれた時代絵巻のごとき空間です。

 とりわけ、室内すべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられた「漁樵(ぎょしょう)の間」は今まで体験したことのない新鮮な驚きを得られること請け合いです。大都会の真ん中に突如出現した「異空間」と称しても過言ではありません。

 2009年には東京都の指定有形文化財にも指定された百段階段(実は数自体は99段だったりします)と7つの部屋。荒木十畝や板倉星光による四季の花鳥画や鏑木清方の美人画が各部屋に彩を添え、美術館で観るのとはまた違った趣きがあります。

 通常非公開ですが、限定ツアーや年に数回開催される展覧会時に一般の方にも公開している時が狙い目です。2014年1月13日までは映画「利休にたずねよ」と「百段階段」がコラボレーションし、贅を尽くしたきらびやかな空間に、千利休役の市川海老蔵が身に付けた衣装が立体的に展示されています。衣装デザインを手がけたのは、鬼才・宮本まさ江さん(映画上映はありません)。

 アメージングな世界に外国人のみならず、我々日本人も息を飲まずにはいられません。都会の喧騒からちょっと雲隠れし気分をリフレッシュするにも持ってこいの場所です。目黒駅から徒歩数分の場所にある“アミューズメントパーク・百段階段”へ一度是非。

 目黒雅叙園 文化財「百段階段」
 
https://www.megurogajoen.co.jp/hyakudankaidan

 

耳よりばなし

 専任ガイドが目黒の歴史とともに東京都指定有形文化財「百段階段」を解説する見学ツアーと、目黒雅叙園内の4つのレストランで特別メニューを堪能できる「美と匠の祭典」(予約制)も用意されています。江戸文化の贅を受け継ぐ百段階段の7つの部屋は昭和10年に建築された園内唯一の木造建築。当初は宴会場として利用されていたそうです。まさにおとぎ話の世界のようです。一番上の「頂上の間」は現在では資料室として新たな役目を担っています。


データ

東京都指定有形文化財「百段階段」
目黒雅叙園

〒153-0064
東京都目黒区下目黒1-8-1
電話:03-3491-4111(大代表)

URL:
https://www.megurogajoen.co.jp/hyakudankaidan
https://www.megurogajoen.co.jp/event/rikyu/index.html/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2013年12月24日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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