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私の描くグッとムービー

青木崇高さん(俳優)
「大統領の陰謀」(1976年)

しびれる 真実を追う姿

 青木崇高さん(俳優)「大統領の陰謀」(1976年)

 

 ニクソン米大統領が関与したウォーターゲート事件の内幕を描いた、社会派サスペンスです。大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト紙の2人の若手記者を、ダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォードが演じています。

 情報収集のために2人が電話をする場面が度々登場するんですが、このシーンがダントツで好き。ひとつひとつ情報を拾って真実を追い求める姿勢にしびれます。イラストにはその姿を、色画用紙に修正テープで描きました。

 ひとつ間違えると首が飛ぶ背水の陣の中、上司も記事の掲載を決断しタブーに切り込んでいく。そういう彼らの、体臭や襟元の汚れまでを感じさせる男臭いかっこよさがある。働く男性を演じる時には、この映画を見返すこともあります。

 新聞社内と聞き込みのシーンが多く場面の変化が少ないので、間に挟み込まれる街の遠景が効果的。史実に沿った作品ですが、2人には強いキャラクターがある。かまをかけながらの駆け引きや、名前の頭文字を頼りに人物を特定するやりとりに、それがにじみます。自転車通勤を表すためか、ホフマンの机の脇に車輪が置いてある。そんな演出も好きなんですよね。

 彼らを突き動かしたのは、正義感だったのかは分かりません。もっと個人的なこと、自分の文章を世の中にたたき付けたかったんじゃないかと思うんです。勧善懲悪だけでない。そこにかっこよさを感じます。

聞き手・中村さやか

 

  監督=アラン・J・パクラ
   製作=米
   出演=ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォードほか
あおき・むねたか
 1980年生まれ。11月19日に初単独主演映画「雨にゆれる女」、来年3月に「雪女」が全国で順次公開。
(2016年11月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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