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私の描くグッとムービー

田島征彦さん(絵本作家)
「レインマン」(1988年)

湧き上がる 美しい兄弟愛

田島征彦さん(絵本作家)「レインマン」(1988年)

 自閉症がある兄とその弟の交流を描いたロードムービーです。僕も、1983年に、脳性まひの少年を主人公にした絵本「あつおのぼうけん」を出しました。その後、自閉症の子どもを描こうとしたときに、この映画が公開されたんです。

 ある日、トム・クルーズが演じる中古車ディーラーの弟に父親の訃報(ふほう)が届く。巨額の遺産は、ダスティン・ホフマンが演じる兄が相続することに。弟は兄を利用しようと施設から連れ出し、2人旅に出ますが、兄は度々パニックを起こす。

 それでも弟は、いつしか兄への愛情が湧き上がっていく。兄は近くにいて欲しくないようなそぶりをしながら、弟と離れたくない。そんな兄弟愛が美しい。ダスティン・ホフマンは、ラスベガスで驚異的な記憶力によってカードゲームを勝ちまくる兄を面白く演じた。映画ならではのエンターテインメント性だね。

 僕が今住んでいるのが、兵庫県・淡路島。島で取材してつくった絵本「ふしぎなともだち」の主人公は、大人に成長していく自閉症の少年です。完成まで何年も行き詰まっていた。でもこの映画のことを思い出さなかったのが不思議。ダスティン・ホフマンの演技力には感動したけども、兄が施設に戻り、弟と引き離されてしまう場面が腑(ふ)に落ちなかったからかな。僕の絵本は障がいがあっても、ともに育ち、生きる教育の大切さを描いています。自閉症の人も周囲の理解があれば、一緒に生きていけると信じているからね。

聞き手・石井広子

 

  監督=バリー・レビンソン
  原作・共同脚本=バリー・モロー
  製作=米
  出演=ダスティン・ホフマン、トム・クルーズほか
たじま・ゆきひこ 
 第1回絵本にっぽん賞受賞作「じごくのそうべえ」出版から今年で40年を迎える。9月3~15日、東京・神田の檜(ひのき)画廊で個展を開催。
(2018年6月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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