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私の描くグッとムービー

今井杏さん(イラストレーター)
「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)

家族の愛 チャーリー一家が理想

今井杏さん(イラストレーター)「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)

 主人公の少年チャーリーは、貧乏ながらも父母、祖父母と幸せに暮らしています。チャーリーは板チョコを買って、有名なウィリー・ウォンカのお菓子工場を見学できるゴールデンチケットを引き当てます。それは世界で5枚だけでした。

 工場内の派手な色彩に加え、ウォンカや工場で働くウンパ・ルンパの個性が強烈なので、そちらが印象に残りがちですが、背景にあるのは家族の愛情の物語なんです。チャーリーや、チケットを当てたほかの4人の子どもだけでなく、ウォンカでさえも、それぞれの形で親に愛されている様子が描かれています。

 私の家族は両親が共働きで、小さい頃はなかなか遊びに連れて行ってもらえずさみしい思いをしました。歯医者の父親にお菓子を禁止され、愛されていないと思い込んで大人になったウォンカと自分が重なって思えたんです。彼が何十年ぶりかで父親の家に帰った時、診療室の壁に息子に関する新聞記事の切り抜きがたくさん飾ってありました。うまく伝わらなかったとしても、ウォンカを愛し続けていたんですね。私の両親も、一生懸命働いていたのは家族を守るためだったのかなと、今なら思えます。

 私は近い将来、家族で東京から故郷の大分に戻る予定です。自然の中で子育てしながらも、作家活動は続けたいですね。チャーリー一家が理想です。子どものやりたいことを尊重し、お互いに思い合える温かな家庭を作っていきたいです。

聞き手・西村和美

 

  監督=ティム・バートン
  製作=米
  出演=ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デビッド・ケリーほか
いまい・あん 
 8月上旬に全国のロフト・東急ハンズなどで関連グッズを発売。ピーチ・ジョンのウエブサイト「momo Life」で4コマ漫画を連載中。
(2018年8月3日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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