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おんなのイケ麺(めん)

アン・サリーさん
「そば舎(や)あお」のせいろそば

「そば舎(や)あお」のせいろそば
「そば舎(や)あお」のせいろそば
「そば舎(や)あお」のせいろそば アン・サリーさん

 自然の中を歩くことが好きで、埼玉は飯能の山もお気に入りの一つ。散策した帰りに寄ったのがきっかけで、こちらには足しげく通っています。

 お店は平屋の民家風。外壁は青く、白いのれんに小さく店名の「あお」と書かれています。靴を脱いで入ると、アンティークの机や椅子が並び、音楽はジャズなんかが流れていて、とてもリラックスできる空間なんです。

 「せいろそば」はシンプル。だしのきいたつゆの中にそばを入れ、江戸っ子みたいに、ずるずるっと吸うよりは、よくかみます。夢中になって食べて、香りや歯ごたえを味わい尽くす。そば湯はセルフでおかわり自由。飲みながらゆっくり流れる時間を感じ、私自身もシンプルになれる気がします。

 歌を歌うときは、いつも生涯最後の曲だと思っています。そうすると1曲でも無駄に歌うことはできません。それに、お客さんは明日の不安や昨日の後悔を抱えながら、ライブに来てくれる。そばを集中して食べるのと同じで、1曲を集中して大切に歌う。そんなヒントをくれた一品です。

 

◆埼玉県飯能市小久保275の4(TEL042・978・9759)。
 900円。
 午前11時~午後5時(12月31日は7時まで)、そばはなくなり次第終了。
 (火)(水)休み(1月1日~2月中旬は臨時休業)。


 歌手、医師。
 新作CDアルバム「Bon Temps(ボン・トン)」が発売中。1月に東京、2月に大阪で、歌手の畠山美由紀とデュオライブを予定。

(2017年12月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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