読んでたのしい、当たってうれしい。

おんなのイケ麺(めん)

波乃久里子さん
「並木 藪蕎麦(やぶそば)」のおかめそば

「並木 藪蕎麦(やぶそば)」のおかめそば
「並木 藪蕎麦(やぶそば)」のおかめそば
「並木 藪蕎麦(やぶそば)」のおかめそば 波乃久里子さん

 物心ついた時から通う店。父(十七代目中村勘三郎)は大の蕎麦好きで、喫茶店に入るよりお蕎麦屋という気質でした。両親はダラダラ話をするのが嫌いで、さっと食べて、さあ帰りましょうって。味わっていられないですよ。

 父も弟(十八代目)も食べ方がとてもきれいで、一緒に食べるのがものすごく恥ずかしかったです。でも一番は吉右衛門兄さん。鬼平のイメージそのもの。最後に器を置く姿はまるでお茶のお点前のよう。

 天ざるの後にこれを頂くの。ここのおかめさんは湯葉とお麩(ふ)、かまぼこのシンプルな具材で表現された厳しい顔つきですね。お蕎麦のゆで方が見事。別添えのネギとワサビを2皿もらって、最初に全部お蕎麦に入れます。おつゆは辛くて江戸っ子の味。この深い味わいは一人で楽しみたいですね。恥ずかしいから、誰にも見られずに。

 

◆東京都台東区雷門2の11の9(TEL03・3841・1340)。
 1000円。午前11時~午後7時半。(木)休み。1913(大正2)年創業。


 なみの・くりこ 俳優。
 8月7日(木)~28日(木)、東京日本橋・三越劇場で納涼新派公演の「蛍」に出演。

(2014年4月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

おんなのイケ麺(めん)の新着記事

新着コラム

  • 美博ノート 五十三次 京三條橋 江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。

  • 建モノがたり 本館古勢起屋 (山形県尾花沢市) 川の両岸にレトロな旅館が立ち並ぶ。そんな銀山温泉のイメージを体現する築110年の「本館古勢起屋」は、老朽化などのため約20年ほぼ放置されていた。

  • 私のイチオシコレクション カメイ美術館 当館は仙台市に本社をおく商社カメイの第3代社長を務めた亀井文蔵(1924~2011)が半世紀以上かけて収集したチョウをコレクションの柱の一つとし、約4千種、1万4千匹の標本を展示しています。

  • ななふく浪曲旅日記 浪曲は治療、なら、浪曲師はお医者さん? 朝日新聞のWEBRONZA論座で「ななふく浪曲旅日記」として、連載をさせていただいておりました。浪曲のお仕事でさまざまなところへ旅をする中で感じたことを綴っておりましたのを、装い改めて、こちらで再連載することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。