読んでたのしい、当たってうれしい。

街の十八番

藤屋本店@群馬・桐生

郷土料理の幅広うどんで人気

オーストラリア産と群馬県産の小麦をブレンドして、乳白色のコシのあるひもかわうどんを作る
オーストラリア産と群馬県産の小麦をブレンドして、乳白色のコシのあるひもかわうどんを作る
オーストラリア産と群馬県産の小麦をブレンドして、乳白色のコシのあるひもかわうどんを作る 藤屋本店で提供する約5センチ幅の麺は、つゆがよくからむ。せいろ550円から

 着物の帯のように折りたためる幅広の麺、ひもかわうどん。織物で栄えた街、桐生の郷土料理の一つだ。

 確かな由来はない。織物の仕事で忙しかった女性たちのため、薄くのばした形状にしてゆで時間を短くし、早く食べられるようにしたものとも、愛知県名物の「きしめん」の起源とされる芋川うどんの「いもかわ」がなまって伝わったものともいわれる。

 店では、寒い時期に煮込みとして提供していた。通年で食べたいという客の要望に応えて、10年くらい前、先代の父がせいろメニューなどを考案。「ご当地グルメとして注目されて人気になった」と、創業約130年の店の6代目、藤掛将之さん(35)は話す。今では約9割の客が注文するという人気ぶりだ。

 父が新メニュー考案後亡くなり、直接教わった期間は10カ月ほど。ようやく最近、常連客の声が励ましを込めた「おめえのうどんなんか食えねえ」から「おいしかったよ」に変わってきた。いつか「自分が考えたおいしいメニューを提供したい」と思っている。

(文・写真 土田ゆかり)


 ◆群馬県桐生市本町1の6の35(TEL0277・44・3791)。午前11時半~午後2時半、5時半~8時半((金)(土)(日)のみ)。(月)・第4(火)休み。桐生駅。

(2017年7月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

街の十八番の新着記事

  • 水戸元祖 天狗納豆@水戸 茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。

  • 大和屋@日本橋 東京・日本橋、三越前に店を構えるかつお節専門店。江戸末期、新潟出身の初代が、魚河岸のあった日本橋で商いを始めた。

  • 佐野造船所@東京・潮見 水都・江戸で物流を担ったのは木造船だった。かつて、和船をつくっていた船大工は今はほとんど姿を消した。佐野造船所は、船大工の職人技を代々受け継ぎながら生き延びてきた。

  • 天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取 「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。

新着コラム