あの魯山人の私邸で、一服
昭和初期に風呂敷1枚の絵画取引から始め、洋画の大衆化に尽力した長谷川仁氏が創設した笠間日動美術館。画商の視点で選ばれた洋画中心の収蔵品が特徴だ。東郷青児ら150人の画家が愛用のパレットに絵を描いて寄贈した作品も興味深い。
同館分館の「春風萬里荘」は、北大路魯山人(1883〜1959年)がアトリエ兼住居として使っていた建物。長谷川氏が65年に北鎌倉から移築、収蔵品の一部や魯山人の陶芸品を展示している。
人気グルメ漫画「美味(おい)しんぼ」で、主人公の父・海原雄山のモデルとされ、若い人にも名が知られる魯山人。篆刻(てんこく)や書で世に出るも、食への傾倒たるやすさまじく、高級料亭を開き、器まで自ら焼く粋人ぶりにファンが多い。その私邸は馬屋を改装した洋間をはじめ、トイレまでもが魯山人の手になり、まさに「こだわりの人柄」が伝わってくる。
そんな魯山人をしのびながら建物内の茶房「春風庵」でお茶はいかがだろう。そのまま飲んでもおいしい地下水を使った抹茶(写真、干菓子付き、410円)を、枯山水の中庭を望む縁側でいただく。心地よい時の流れに身を任せていると、創作意欲までわいてくるようだ。