ちひろと浸る「ちいさな幸せ」
長野県北アルプスのふもとに建つ「安曇野ちひろ美術館」。絵本画家・いわさきちひろの心のふるさとであるこの地に、97年にオープンした。山々の絶景に加え、広々とした村営の公園が周りを囲み、脇を流れる乳川やさらにその向こうに広がる田園風景など、自然美に息をのむ。県産カラマツを使った館内は温かみがあり、窓ガラス越しの景色も秀逸。五つの展示室でちひろの作品や遺品を鑑賞できるほか、絵本の部屋での読書など、くつろぎの時間が流れる。
建物の北東にあるカフェは最も眺めがよく、好天なら外の白いパラソルの「特等席」へ。蓮華岳をはじめ雄大な北アルプスの山並みが一望できる。こんな安曇野の風と風景にぴったりなのは、地元の新鮮な素材を使ったケーキと数十種類のリストから選ぶドリンクのセット(788円)。この時期には地場産のりんごを使った「シュトゥルーデル」がいい。あっさりした生地とクリームの層に包まれた大粒のリンゴに思わずほおが緩む。ドリンクは「アールグレイりんごジュース」を。りんごと紅茶の甘酸っぱいハーモニーがなんともいえない。
ここにいると、いつの間にか訪れる小さな幸せと満足感。これこそ、ちひろの大切にしていた気持ちなのかもしれない。