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2010.8.31(火)更新  橋に願いを/城ケ島大橋(神奈川県)

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城ケ島大橋(神奈川県)

漁業の島に寄り添い半世紀

城ケ島大橋

三浦半島と城ケ島(左)を結ぶ城ケ島大橋。直線的な海岸が埋め立てを物語る=本社ヘリから
城ケ島大橋
島で取れた伊勢エビやアワビを手にする甲田豊さんと石橋英樹さん=横尾写す
 神奈川県三浦市の三崎漁港。遠洋漁業の拠点として栄え、マグロの水揚げで日本一を誇ったこともある。港は三浦半島とその南端に浮かぶ城ケ島の一帯に位置し、城ケ島大橋は1960年、漁港発展の期待を担い、半島と島の間に架けられた。

◇        ◇

 「映画を見るために船で港に渡り、夜遅くなって泳いで島に帰ったこともあった」。島に生まれ育った青木倉吉さん(86)は、架橋前の様子が懐かしそうだ。遠洋漁業だけでなく、島周辺は海の恵みの宝庫だった。今も現役漁師の青木さんは、近海で伊勢エビやカワハギを取りながら港の変化を見続けてきた。  橋が架かったころ、マグロの水揚げ量は右肩上がり。加工場などの漁業施設建設のため、現在の島の面積の2割に近い約18ヘクタールが埋め立てられた。それに伴い、半農半漁で生計を立てていた島の人々の生活は一変する。「浜辺が消え、港からトコブシやサザエがいなくなった」と青木さんは残念がる。  だが、オイルショックや経済水域の拡大などが影響し、遠洋漁業はやがて下降線に。昨年のマグロ水揚げ量は約7千600トンと、ピークだった昭和40年代の10分の1ほどに落ち込んだ。

◇        ◇

 漁港開発に翻弄(ほんろう)された城ケ島にあって、甲田豊さん(39)と石橋英樹さん(39)は数少ない若手漁師だ。  島外で働いていた甲田さんは妻の故郷の城ケ島に移り住み、3年ほど前から潜り漁や、船の上から突く見突き漁でアワビやサザエを取っている。「豊かな漁場はまだ残っていますよ」  石橋さんは代々続く漁師の家の長男。会社員生活を経て漁業を継いだ。家族が手伝ってくれたり民宿が積極的に仕入れてくれたり。助け合いや気遣いを日々感じ、島を誇りに思う。  架橋から50年。島には、漁業を担う人々の力強い暮らしが今も息づいていた。漁港の発展という目的は薄れたけれど、橋も島に寄り添い、島の人たちの生活を支えている。

文 横尾絢子
撮影 西畑志朗


■城ケ島
 三浦半島の最南端にある面積約99ヘクタールの島。北側は遠洋漁業基地、東側は県立公園、南側は荒磯の海岸となっている。西端に全国有数の歴史を持つ洋式灯台「城ケ島灯台」が建つ。

■白秋記念館
 「雨はふるふる/城ケ島の磯に……」の歌詞で知られる「城ケ島の雨」。作詞者・北原白秋の遺品や遺作を展示している。午前10時〜午後4時。(月)休み。三浦市三崎町城ケ島374の1(三崎口駅からバス、TEL046・881・6414)。

■城ケ島渡船
 三崎港と城ケ島を結ぶ。午前9時45分〜午後5時15分(随時運行)。5月〜9月の(日)休み。200円。問い合わせは三浦海業公社(046・881・6721)。

 ▼5月〜9月の(日)は、みうら漁業協同組合の組合員が渡船を運航。午前8時〜午後3時半(随時運行)。300円。問い合わせは同組合(046・881・7261)。


 【メモ】
全長575メートル、幅11メートル。投じられた総事業費は7億円。船の航路として幅と高さを確保するため、鋼床板箱桁と呼ばれる構造が採用された。外観が「優美で軽快」と評判を呼び、城ケ島の観光にも一役買うことに。渡橋料が必要で、普通車は往復150円。

地図

(2010年8月31日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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