鮮やかな黄色をまとい、きりりと帯を締めたようなどこか風雅な姿。
赤坂に本店を持つ茶懐石寿司「福槌」の看板商品が、この「茶巾(ちゃきん)寿司」(735円)だ。歴史は古く、大正時代、福槌の前身である「有職=ゆうしょく」の創業者が宮家御膳所に仕えていたとき、茶会の席でふるまったのが始まりだという。以来、宮内庁御用達として知られ、楽屋見舞いなどでひいきにする著名人も多いそうだ。
なめらかな均一の薄焼き卵は袱紗(ふくさ)包みで、ふわりと寿司を覆う。具は穴子や椎茸、ズワイガニなど、厳選した素材を丁寧に味付けしている。「シャリも具も濃く甘めの味付けなのですが、合わせるとちょうどいいバランスになるんです」と大沼さん。たしかに全体的に少し甘めなのに、すっきりした上品な味わいにまとまっている。
有職から福槌へ店名が変わったのは10年ほど前。今も同じ職人たちが伝統の味を守り続ける。この味を求めて有職の頃からの常連も多く来店するという。
約200グラムと、ひとつで軽い食事にもなる食べごたえ十分のサイズ。小さめの茶巾寿司が2つ入った「伏見」(893円)もあり、旬の魚を使ったちまき寿司や巻物、ばら寿司など品揃えも豊富だ。