東京都台東区柳橋に店を構える「小松屋」は、1881(明治14)年に船宿として創業。当時、花街としてにぎわっていた柳橋で、料亭や舟遊びの客の手土産に江戸前の佃煮を作ったところ、評判になったという。以来、伝統の味を守り続けている。
小松屋のレシピはシンプルだ。使うのは、魚介を中心とした季節の食材と、しょうゆ、みりん、砂糖のみ。冷蔵庫がなかった時代に、常温でも1カ月は保存できるようにと作られたタレは、甘さを控え、しょうゆの味がしっかりとついた江戸前の味。薄味主流の時代に、保存食の原点を感じさせるようなしょっぱさが逆に潔く思えてくる。店長の山本岳史さんは、「男性のお客様にも人気で、リピーターが大半です。温かいご飯はもちろん、日本酒や焼酎など、酒の肴になさる方も多いですね」
小松屋ビギナーには、定番の「糸切昆布」がお勧め。北海道南部産の昆布を幅1ミリほどの極細切りにし、白ゴマがまぶしてある。白いご飯でいただいてみると、やわらかく煮上がった昆布がとても食べやすく、ゴマも香ばしくて、箸がどんどん進んでしまう。ご飯の甘さにも、改めて気付かされた。
曲げ物を使ったパッケージも粋で、自宅用と贈答用に購入して行く客がほぼ半数ずつだ。山本さんは、「若いお客様に、小松屋の佃煮を召し上がっていただきながら、日本の食の歴史や文化に思いをはせていただけたら嬉しいですね」
柳橋の本店以外での出店は、東京では日本橋三越本店のみ。
糸切昆布 75グラム、525円