はじめて日本を訪れたとき、私を迎えてくれたのは、冬の澄み渡った青い空! そのとき私は日本にひとめぼれしたのです。
小さな頃から「外国暮らし」が大好きで、機会を見つけてはいろんな国に1カ月から半年ぐらいの期間、住人として滞在してきました。
右も左もわからない異邦人状態から、標識の意味がわかり、自分あての郵便物が届くようになって「ここは自分の街よ」と言える喜び。外国暮らしはまるで冒険のように、いろんな経験が積めるチャレンジなのです。
当時、パリ政治学院を卒業したばかりの私は、日本にはさして興味がありませんでした。フランス政府から奨学金をもらい、日本企業を研究することが決まっても、覚えた言葉は「ありがとう」「さようなら」の二つだけ。3カ月間の滞在はいい経験になるだろうなと思っていた程度だったのです。
それがどうしたことでしょう! こんなにも東京や日本に魅了されてしまうとは!
制服姿の事務の女性や仕事熱心なサラリーマンが新鮮なら、おすそ分けをし、ちょっとしたニュースを報告しあう「人情」の残るご近所づきあいに心を打たれます。都会のビルの谷間にひっそり立つ木造の民家とのコントラストも刺激的。そして人のやさしさ。
大きなカルチャーショックを受けつつも、大好きなお風呂で体がときほぐれるように、あっという間に日本が心地よく私になじんでしまったのです。
あこがれの国連本部に職を得ながらも、私がニューヨークから日本に舞い戻ってしまったワケは、こんなところにあったのかもしれません。