江戸の町衆たちは、子供が6歳になると、読み書き、学問を教える寺子屋に通わせました。そこでは、地震・火事・水害時の身の処し方などの実学を、地域の歴史をもとに教えることもあったそうです。
寺子屋とは別に、定期的に開かれる「講」という相互扶助システムの会合もありました。
その日は商売を休み、明け六つ(午前6時)から、熱湯(ねえゆ)で茶わんを四半時(30分)煮沸消毒して準備をしました。
この講には赤ちゃんも参加します。子守を担当するおばあさんの腕の中で、講師のお話をBGMにすやすやと眠ります。成長するに従い少しずつ講師の目を見ることを覚え、やがて講師の口まねをするようになり、だんだん意味も分かるようになるのだそうです。
講師は、その時々の町の問題と対策について講義をします。講中(講のメンバー)は後輩や子供たちに手取り足取り口伝えで「江戸しぐさ」も教えました。講が終わると、後かたづけです。子供は湯飲み茶わんの洗い方やしまいかた、畳の掃き方、ぞうきんの絞り方、廊下のふき方などを、大人たちのやり方を見ながら学び習ってゆきます。これが将来、商家の男主(あるじ)、女主(あるじ)として自立するための鍛錬にもなったのです。
大人の会合だからと子供をシャットアウトするのではなく、老若男女一堂に会してよいしぐさを見取らせる、大人へのオンザジョブトレーニングというところでしょうか。