何事もスピーディーが喜ばれる時代ですが、早さを競うあまり粗雑で不正確になり、やり直したら労力も時間も無駄に−−ということになりがちです。
まずは焦らず注意深く、念には念を入れて丁寧に対応した方が、結局はよさそうです。よく電車の車掌さんが指さし確認をしていますが、外出の際など、声に出して持ち物や戸締まりなどを確認するしぐさをくせにしてはいかがでしょう。
江戸の町は何が起こるかわからない「まさかの町」とも言ったそうで、商人たちは、常に人を見る目を磨き、用心していました。釣り銭のまちがいはないか、客の忘れ物はないか、在庫は適正か、火の用心は万全か、手を抜かずに何度も確認する「念入れしぐさ」ができる番頭のいる店は安泰だといわれました。込み合う往来で、すれ違う相手を気づかう「傘かしげ」「肩引き」「かに歩き」などのしぐさをしないと、ぽっと出と思われてスリにねらわれました。生き馬の目を抜くようだった江戸の町ですが、郷に入れば郷に従い、江戸っ子としてのルールを守りさえすれば安心で、快適でもあったのです。
ある幼稚園では、園児の胸につける名札は本名ではなくニックネームにしていました。知らないおじさんがニックネームで声をかけてきたら、たとえ「お父さんの友達だよ」と言われても、本名を知らないのは「おかしい」「変だな」と思いなさい、と教えていたそうです。これぞ用心しぐさですね。