江戸っ子たちは、子供が片手(5歳)になれば転んでも手を貸さなかったといいます。一日も早い自立を願い応援していたからです。子供たちは、分からないことは自分から積極的に師匠や両親、世間の大人、兄、姉に聞き、あるいは見習い、見取り、見よう見まねで学びました。
そういう習慣が身についていますから、誰かが転んでも、周りの人はじっと見守りました。老人が転んで起き上がらないので手を貸そうとしたら、「よしてくれ。今、俺様は下から世間を眺めてるんだい!」とやせ我慢をした、そんな小話があるくらい江戸っ子はプライドが高かったとか。
その代わり、自力で起き上がれないと分かったら、即手を貸しました。本当に悩んでいる人や、大ケガをした人、病人と見たらなにはさておいても手をさしのべるわけです。
この「さしのべしぐさ」と反対に、忌み嫌われたのが「威張る」しぐさです。威張るとは「ことさらに威勢を張って強そうに、また偉そうにみせる」こと。そもそも人を従わせる勢い(つまり威)がないのに偉そうに見せる尊大なしぐさのことです。これほど周囲を不愉快にするしぐさはありません。
本当に能力のある人間は、「威ありて猛からず」「実るほど頭の下がる稲穂かな」ということわざどおり、謙虚な人格を感じさせるものだと思います。上に立つ人には、威厳は欲しいけれど威張らないで欲しいものです。