イベントなどで、無料で何かもらえるときだけわあっと押し寄せたかと思うと、海の水が引くようにさっといなくなってしまう人々がいます。「ただ」と知ると我先にと手を出したり、バイキングで山のように料理を運んで食べ残したりするふるまいは、「ムクドリしぐさ」と言われました。
これは、ムクドリがどこからともなく群れをなして飛んできてエサをついばみ、エサがなくなるとまた群れをなして飛んでいってしまうことから来ています。また、海にたくさん群れて現れるクラゲに例え、「クラゲしぐさ」とも言いました。
都合のいいときは便乗するのに、助力を求められたときは知らん顔。こんなムクドリやクラゲさんとは長いお付き合いはできません。お付き合いのコツは、相手に接する動機が純粋であることではないでしょうか。久しぶりに訪ねて来た友達の目的が選挙運動だけと知ると、がっかりしてしまいます。日ごろ良いお付き合いをしていれば協力したいと思うでしょう。パーティーで1人の人と名刺交換しながら、もう次の人へと視線が走っている人がいますが、ちょっと信用できない気がします。
目先の利益にとらわれず、人間同士まず親しくなることを江戸っ子は大切にしました。江戸で生まれ育っても、江戸っ子とは言えない人もいたのだそうです。反対に、どこで生まれても講などで鍛錬し、江戸しぐさのセンスを身につけた人は、立派な江戸っ子と呼ばれました。