現代人は江戸人に比べて五感(視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚)が衰えているようです。五感が敏感でなければ六感は生まれません。
江戸の商人には、人や世間、経済の動向を見抜く洞察力、まさに五感を駆使して初めて生まれる六感(直感)、「ロクの利く」人が求められました。店の番頭は情報収集力と、少なくとも翌年のお盆までの店の収支を見通す想像力をもっていなければならなかったそうです。
現代は、天気予報で気候を、寒暖計で気温を知り、五感を働かせる機会が減っているようです。総合的に物事を判断する六感も、生活に必要なくなったのかも知れません。
真夏日に売れるぶっかき氷。天気予報がなかったころ、その仕入れの合図はご隠居さんでした。経験と勘を兼ね備えた、天候に敏感なご隠居さんは、重要なセンサーとして商人たちに引っ張りだこだったのです。
今年も敬老の日がめぐってきます。江戸の老後は「老入(おい)れ」と言ったそうですが、老人の評価とは「どれだけ若者を笑わせたか、どれだけ若者を引き立てたか、どれだけ良き物を伝承したか」で決まるそうです。
研ぎ澄まされた五感をもつ老人たちの危機意識と、その体験から得た知恵は、災害に備える危機管理にもつながっていくのです。自然への尊敬の念を失い、警報を受け止められず、天災人災を繰り返す現代人は、ここで温故知新の意味を考えたいものです。