「逝きし世の面影」(渡辺京二著)によると、幕末や明治の初めに来日した欧米人は、日本人の「ほほえみ」のすばらしさに好感を抱いたそうです。それは卑屈でなく、ハッピーであることが分かるほほえみでした。
両国の川開きの混雑の際でも、「アリガトウ」「ゴメンナサイ」と優しい言葉が飛びかったとか。このようなあいさつは明るい笑顔とともに発せられ、彼らを魅了したようです。
先日出張した新潟のホテルの部屋に「笑顔の評価をお願いします」というアンケートがありました。笑顔が印象に残った係に○をつけるというものです。けれど、このような「笑顔のサービス運動」などで仕方なく作られた笑顔に、果たしてお客が満足するでしょうか。江戸っ子のように、いきいきと楽しく生きていたら、表情は自然にほほえんでいるはずだと思うのです。
あるチャーミングスクールの広告に「人を惹(ひ)きつける笑顔の作り方」が書いてあり、「鏡に向かって自分の笑顔を研究して下さい」と勧めていました。このように形から入ることも必要ですが、磨かれた心を伴わないと、作り笑いは品のない不気味なものになってしまいます。
知人、友人がいない会議、研究会などに初めて出席したとき、メンバーに一人でも笑顔の人がいると、うれしく勇気が出るものです。気まずい時でも、笑顔は相手をなごませ、敵意を持っていないというメッセージにもなります。心からの笑顔の効用は計り知れません。