米国のライス国務長官は、優秀な頭脳に加えてその美貌(びぼう)、そして、各国重鎮の男性との会見の際に長い形のいい脚をさっと組むそのしぐさは自信に満ちあふれ、一種の爽快(そうかい)感さえ覚えてしまいます。
でも、日本では江戸でも現代でも、「足を組む」しぐさはあまり好感を持たれません。親しい仲間同士なら許されても、上司の前で行っては、敬意を払わない無礼なやつと思われるかも知れません。まして江戸時代は着物です。前がはだけてあまり美しいとはいえない、特に女性には不向きなしぐさだったことでしょう。医学的見地からも、足を組むと楽なようでも、背骨が曲がり姿勢が崩れるので良くないといわれています。
また、「腕組み」は商人にとっては衰運の印と言われ、足組みと同じくしてはいけないしぐさの一つでした。江戸しぐさの師・芝三光先生が学生を使って実験をされたところ、店主や店員が腕組みをしていると、お客は店の前を通り過ぎていったとか。腕組みしぐさは、偉そう! とか、何を構えているの? など、客にいらぬ警戒心を抱かせます。これでは到底、店は繁盛しないでしょう。
足組みはちょっとくだけて、時によっては不用意に見えてしまいます。腕組みは逆に、構えている感じで、居丈高とまでは行かなくとも融和の気持ちは示せません。日常の生活の中でも、こんなしぐさがくせにならないように、注意しないといけないようです。