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2007.2.7(水)更新  江戸しぐさ

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江戸は大きな百貨店

 江戸の町で、江戸城と武家地以外の場所である下町に住むのは町方の人々で、一帯は町屋と呼ばれていました。今でも荒川区に町屋という地名がありますね。

 江戸下町全体は、横に広がった大百貨店のようなイメージだったそうです。というと建物を想像してしまいますが、魚屋、八百屋、鍋屋など、多種多様な商人が江戸の暮らしを支えていたということです。履物や傘の専門店が軒を連ねた、照降(てりふり)町と呼ばれた一角のように、一つの分野に特化した地域もあったようです。

 彼らは専門分野を生かし、一つの百貨店の店員同士のような、仲間意識のあるコミュニティーを築いていました。男女を問わず皆が主(あるじ)で、1人の人間が、あるときは売る人、あるときは買う人となり、純粋な消費者は少なかったのでしょう。

 お互いの得手不得手をわきまえ、餅は餅屋に任せる。つまりそれぞれの専門を尊重して、餅屋なら餅以外のことに手出し口出しをしなかったそうです。

 自分の専門分野に精通していないと笑われますが、専門外のことを知らなくても、恥ではありませんでした。これを「結界わきまえ」といいました。

 江戸には、共生という言葉はまだありませんでしたが、考え方はあり、互角に言い合える、付き合えるよう心がけました。共倒れしないよう、相手を尊重する江戸暮らしには、「結界わきまえ」は欠かせない心得の一つだったのでしょう。

(江戸しぐさ語りべの会・主宰)

題字・イラスト 伊藤美樹

越川 禮子

(2007年2月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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