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2007.2.28(水)更新  江戸しぐさ

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わびる気持ちと許す心

 江戸っ子は、目の前の人を仏様の化身と考えていました。「すみません」とは、仏様に対して澄んだ気持ちになれなかったという心からのおわびの気持ちでした。今では「済」の字をあてることが多いこの言葉、本来は「澄みません」とも書いたそうです。

 現代人は「すみません」を案外気軽に連発しますが、その心が、目つきや表情、口の利き方、身のこなしに出ているでしょうか。ちょっと疑問ですね。心からのおわびの気持ちが感じられないと、せっかくの思いも相手にきちんと伝わりません。「すみません」は、「ごめんなさい」より誠意を込めて言うべきセリフではないかと思います。

 江戸では、約束した講や寄り合いに無断欠席すると、その人は鬼籍に入れられてしまったそうです。約束は死なない限り守らなければならない、ということは周知のしぐさでしたから。死んだことにされても、文句は言えなかったのでしょうね。

 しかし次回の講の日に、おでこをたたいて、まさに「あい澄みません」と平身低頭して心からおわびをすれば、笑いとともに許してもらえたそうです。

 規則、規則としゃくし定規にふるまうのではなく、相手の事情をおもんぱかるところに江戸っ子の懐の深さ、許す心があります。また、人の意見を遮らず最後まで聞く、若者の感覚も尊重する、といった心意気にも、人間への愛を感じてしまうのです。

(江戸しぐさ語りべの会・主宰)

題字・イラスト 伊藤美樹

越川 禮子

(2007年2月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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