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2007.3.7(水)更新  江戸しぐさ

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異なる意見を尊ぶ

 上に立つ人の心得である「江戸しぐさ」で特に大切にされたのが、赤の他人や、とつくに(異国)の人々との付き合いでした。このしぐさは今、日本人が一番苦手なことではないでしょうか。

 家族、親類、友人、同僚、なじみ客とは仲良く愛想良く付き合いますが、見知らぬ人、初めて会う人、あるいは自分と意見の合わない人には冷淡になりがちです。

 江戸では、自分と違う意見も尊び、聞き入れたり取り上げたりしました。この「尊異論」を実践することが、リーダーの条件だったのです。10人のうち、違う意見を言ったのがたった1人の小僧さんでも、番頭が納得したらその意見を採用したといいます。

 現代なら、部下が批判精神から異なる意見を言おうとしたとき、誰かが「生意気だ」と遮ろうとしても、上司はおさえつけずに耳を傾けたいものです。

 徳川吉宗が紀伊から江戸に出て将軍の座に着いたとき、「暮らす人と同じ数だけ江戸がある」というような意味のことを言ったようです。とかく上に立つ人は、下の者を十把一絡げにしがちですが、名君といわれた吉宗は、人間それぞれが違う考えを持っていることを認識していたのでしょう。

 誰しも完全な人はいません。自分とは違う意見でも、どこかいいところを見つけ、「そんな考え方があるんだ!」と好奇心を刺激されることがあると思うのですが、いかがでしょうか。

(江戸しぐさ語りべの会・主宰)

題字・イラスト 伊藤美樹

越川 禮子

(2007年3月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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