カラフルな服、作品の鍵
人気漫画家、西原(さいばら)理恵子の自伝的作品を映画化した「女の子ものがたり」が公開中だ。主人公は36歳の漫画家・菜都美(深津絵里)。スランプに陥り、自堕落な日々を過ごしていた菜都美が、少女時代を共に過ごした友だちの記憶に励まされ、前向きな気持ちを取り戻していく。
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公開期間中、東京・渋谷のシネクイントに展示されている衣装と安野さん |
西原作品ならではのカラフルな色彩が、重要な鍵を握る。映画「フラガール」など、衣装のセンスに定評がある安野(やすの)ともこさんは、キャラクターに合う色にとことんこだわった。森岡利行監督の意向で、菜都美は黄色・オレンジ系、2人の友だちは、それぞれピンク系、青・グリーン系と、キャラクターによってテーマカラーが決められていたが、限られた条件の中、生地の微妙な濃淡など納得のいくまで染め直した。菜都美が上京するシーンで使う鞄(かばん)は、乗車するバスと同じオレンジ色を採り入れ、自らデザインした。
洋服を作ることが好きだったという安野さんは、服飾の専門学校に在学中からアパレルメーカーに勤務。同時に雑誌のモデルや音楽活動、執筆業など多岐にわたって活躍してきた。その後、小泉今日子の写真集に編集者兼スタイリストとして参加したことをきっかけに、本格的にスタイリストの道を歩み出す。「怖いもの知らずで、現場に自分のアイデアを積極的に持ち込みました。その姿勢が、周囲の人から見て面白かったんじゃないでしょうか」
撮影に入る前、深津らと西原の自宅に行く機会があったが、スケジュールが合わずに断念。今となっては、それが良かったと振りかえる。「原作を読んで、最初に抱いた自分のイメージのまま突き進みました。私にとって思い出は、ファンタジーのような感覚。西原さんとお会いしていたら、リアルな世界を意識した衣装になっていたかもしれません」
衣装合わせのとき、深津はラストシーンのワンピースを着て「この衣装なら、役に入れる」とつぶやいたという。(杉森美絵)