モンゴルでルーツたどる
歌い手は二つの音を共鳴させ同時に発声する――モンゴルの遊牧民に伝わる歌唱法ホーミー。首都ウランバートルに住む2人の青年が、自身のルーツを探るようにホーミー発祥の地とされるチャンドマニ村を目指す。同じバスに乗り合わせた彼らの1500キロに及ぶ旅を、ドキュメンタリータッチで描く「チャンドマニ〜モンゴル ホーミーの源流へ」。
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出演者に囲まれる古木さん(中央) |
撮影を担当したのが古木(こぎ)洋平さん(28)。2007年、カメラを手に中南米を旅行中、監督・亀井岳さん(40)と出会う。当初、亀井さんは単独で制作する予定だった。しかし自分がホーミーの録音に専念するためには、頼りになるスタッフがもう1人は必要だ。そこへ偶然にも大阪芸大の後輩で映像制作の技術を持つ古木さんが、相棒として加わった。
準備期間は1カ月半。予算は130万円で、それまでの旅でためたマイレージを飛行機代にあてた。つっぱり棒を車内撮影時のカメラ固定具になど、機材の多くを量販店でそろえ自作。そして08年1月と10月にビデオカメラ1台で撮影を決行する。
零下40度という現地での撮影は、常に寒さとの闘いだった。フル充電したはずのバッテリーが、セットした途端に電池切れ寸前になる。凍った湖上では、氷が溶けぬかるんだ地面に足をとられカメラと共に横転。幸いレンズカバーの破損だけでとどまり、約60日間の撮影を終えた。
古木さんはモンゴルと不思議な縁がある。祖父・俊雄さんは戦前に中国大陸に渡り、遊牧民と暮らしていた。生前、多くを語ることは無かったが、時に思い出を口にした。「祖父が生きた地に初めて立ち、感慨深いものがあった」。撮影は古木さんにとってもルーツをたどる旅となる。
「ただ真っ白と思っていた冬景色が、羊の群れや赤茶けた土などたくさんの色と光でできていることに、壮大な大陸を感じた」と語る古木さん。共鳴する2人は、次回作も旅をテーマに準備中だ。(酒井摂)
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3月20日から、渋谷アップリンクほかで順次全国公開。
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