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コレクションを預かる喜び
先日のこと、昔からのお客様がしばらくぶりで来廊された。退職されて久しい方だ。「女房が、最近しきりにコレクションの始末はどうするの、っていうんだよ」といわれる。
ここ数年、こういった相談や遺産の整理の依頼が多くなった。1970年に画廊を開いた頃、まだ若かった私を贔屓(ひいき)にしてくださったお客様たちには、鬼籍に入られた方々やご高齢になられた方々が多くなってきたのだから、無理もない。
コレクターの長年の愛蔵品整理・売却は、画商には特典ともいえるものだ。まるで宝物庫の鍵を預けてくれるようなもので、わくわくするし、何よりも信頼がうれしい。
さまざまな業態の画廊が、東京の銀座・京橋あたりに集中している。それぞれちがう特徴をもっているが、それに応じて各画廊にコレクターが集う。コレクターとは継続的に何かを収集する人々。生活必需品ではないアートにお金をだすのだから、皆さん一家言をもつ。お金を出しさえすればよかったバブル時代のアートあさりとは異なり、真剣勝負であると同時に知的な遊びでもある。
しかし、コレクターは一代限りという。美術品を継承するご家族がコレクターと同じ美意識を持っておられることは少ない。いや元気に収集しておられるときでさえ、奥様に価格を低く偽ったり、目を盗んで自宅に運び込んだりは朝飯前。
そうやって集められたコレクションは主(あるじ)を失っても、小さな秘密や大きな喜びを共有した画商の手で再び次のコレクターの手にわたる。やがてはその画商も消えていくわけだが、優れた美術品だけは永遠に残る。
(ガレリア・グラフィカ)
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